はじめに
どんな薬にも必ず副反応(副作用)はあります。薬(ワクチン)とは、「副反応というリスクよりも効果(有益性)の方が上回る」と判断されたものです。
“絶対に安全な薬”は存在しないということを、まず知っておいてください。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、過去にかかった水ぼうそうのウイルスが原因で発症する病気です。
一度水ぼうそうにかかると、ウイルスは体内に潜伏し、免疫力が低下したタイミングで再活性化することがあります。
症状は、顔や体の左右どちらか一方に帯状に現れる痛みを伴う水ぶくれ。
問題は合併症にあります。特に、目や耳の近くに症状が出た場合、以下のような重大な後遺症を招くことがあります。
- 視力障害(最悪の場合、失明)
- 顔面神経麻痺
また、皮膚症状が治まった後も、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる強い痛みが残ることがあり、日常生活に支障をきたすほどです。
発症のリスク
- 50歳を超えると発症率が上昇
- 70代での発症が特に多い
- 80歳までに3人に1人が発症すると言われています
このような背景から、予防のためのワクチン接種が重要視されています。
帯状疱疹ワクチンについて
帯状疱疹のワクチンには、「生ワクチン」と「不活性化(組換え)ワクチン」の2種類があります。
どちらにもそれぞれ特徴があり、予防効果や副反応、費用などが異なります。
ワクチンの比較表
項目 | 生ワクチン | 不活性化ワクチン(組換え) |
---|---|---|
商品名 | 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」® | シングリックス筋注用® |
接種回数 | 1回(皮下注射) | 2回(筋肉注射・2回目は2か月以上間隔をあける) |
発症予防効果 | 接種5年後で約40% | 接種5年後で約90%、10年後でも約70% |
神経痛予防効果 | 接種3年後で約60% | 接種3年後で90%以上 |
副反応 | 接種部位の発熱・かゆみなど(比較的軽度) | 接種部位の痛み・かゆみ、筋肉痛など(やや出やすい) |
対象年齢 | 50歳以上 | 50歳以上、またはリスクが高い18歳以上(希望すれば接種可能) |
接種できない方 | 妊娠中、免疫抑制治療中、発熱中 | 発熱中、アレルギー歴がある方 |
費用(自己負担) | 約1万円未満(助成ありで約5,000円) | 1回2~3万円(2回で4~6万円)、 助成ありで約1万円/回 |
どちらを選べばいい?
それぞれの特徴から、以下のような選び方をおすすめします
不活性化ワクチン(シングリックス)を選ぶ方
- 高い予防効果と長期の効果を求める方
- 免疫抑制治療中で、生ワクチンが使えない方
生ワクチン(ビケン)を選ぶ方
- 副反応が気になる方
- 接種を1回で済ませたい方
- 費用を抑えたい方
定期接種制度について(令和7年度~)
令和7年度から、帯状疱疹ワクチンが定期接種の対象となりました。
対象となるのは以下の方々です。
主な対象者
- 年度内に 65歳になる方
- 60~64歳で、HIVによる免疫障害により日常生活に支障がある方
特例措置
- 令和7年度に限り、100歳以上は全員対象
- 令和7〜11年度の間、その年度に 70・75・80・85・90・95・100歳になる方も対象
費用と申込方法
接種の方法や費用、申込方法は、お住まいの市区町村によって異なります。
対象者には自治体から案内が届く予定です。
また、一部の自治体では定期接種の対象外の方にも助成制度があります。
例:鹿児島県大崎町では、50歳以上の方を対象に助成を行っています。
詳細は、お住まいの自治体のホームページをご確認ください。
おわりに
帯状疱疹は、放置すると生活の質を大きく損なう可能性のある病気です。
50歳を過ぎたら、ワクチン接種を積極的に検討しましょう。
ご自身の体調や生活スタイルに合ったワクチンを選び、しっかりと予防していくことが大切です。
参照:厚生労働省 帯状疱疹ワクチン
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